(オスマントルコに圧迫されている東ローマ)皇帝はいいます。 「ムハンマドが新しいこととしてもたらしたものをわたしに示してください。 あなたはそこに悪と非人間性しか見いだすことができません。 たとえば、ムハンマドが、自分の説いた信仰を剣によって広めよと命じたことです」
「神は血を喜びませんし、理性に従う(シュン・ロゴイ)ことなしに行動することは 神の本性に反します。信仰は魂から生まれるものであって、肉体から生まれるもの ではありません。誰かを信仰に導きたいなら、必要とされるのは、上手に語り、 正しく考える能力であって、暴力や脅しではありません。 ・・・・理性を備えた魂を説得するために、腕力も、いかなる武器も、死をもって人 を脅すその他の手段も必要ではありません・・・・」。
「ムハンマドが新しいこととしてもたらしたものをわたしに示してください。 あなたはそこに悪と非人間性しか見いだすことができません。 たとえば、ムハンマドが、自分の説いた信仰を剣によって広めよと命じたことです」
カントは、信仰に場所を与えるために、思惟を脇に置かなければならないと 述べました。これによって、彼は、宗教改革者たちが予想できなかったよう な徹底したしかたで、宗教改革者のこの計画を実行したのです。 こうしてカントは、信仰を実践理性のみに基づかせ、信仰から現実全体に通 じる道を閉ざしました。