Random Memorandum 2005Q2

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2005/9/25 the ultimate collection 2005 鬼束ちひろ †

• 2003年にリリースされたシングルＣＤのベストアルバム
  1.流星群 2.声 3.眩暈 4.月光 5.infection 6.We can go 7.Fly to me
  8.シャイン 9.BACK DOOR 10.King of Solitude 11.CROW 12.茨の海
  13.私とワルツを 14.call 15.Sign
  

2005/9/18 Bourne Supremacy 2005 Universal †

• Bourne Identityの続編
• 主人公のジェイソン・ボーン（マット・デーモン）は、ゴアのヒッピーコミュニティーに前作からの恋人マリーと一緒に隠れ暮らしている
• ジェイソンは記憶がもどらないまま、自分の犯してきた暗殺の断片的なフラッシュバックに苦しんでいる
• 折しも数年前に破棄された「ドレッドストーン」計画に関して、当時のＣＩＡ高官が暗殺チームを私物化し、ロシアの政商の依頼で政敵の暗殺を請け負っていたこと、その実行犯がジェイソンであることが分かりそうになる
• ＣＩＡ高官とロシアの政商は、内部告発者を暗殺し、その罪をジェイソンに着せたうえで暗殺しようとする。
• やがてゴアに暗殺者が現れ、ジェイソンは辛くも逃げおおせるものの恋人のマリーが殺される。
• ジェイソンは、自分がロシアの政治家を暗殺した断片的な記憶をもとにベルリンを訪れて、ＣＩＡとロシアの政商の追求をかわしながら自分が過去に行った暗殺の記憶を探ろうとする
• やがて暗殺の記憶をほぼ取り戻したジェイソンは、XXXするためにモスクワを訪れるが・・・
• 表題のSupremacyは「主権」。前作ではジェイソンは記憶を失い誰とも分からぬ者たちにつけねらわれていたが、今作では自分が主体となってまわりを振り回すことになる。
• エンディングは次回作が作れるような作りになっています(^^;

2005/9/17 Bourne Identity 2003 Universal †

• 主人公のジェイソン・ボーン（マット・デーモン）は、オープニングでいきなり海に浮いている
• 漁船に助けられたジェイソンは、背中に銃弾をうけており、記憶を失っていた
• ジェイソンは、尻に埋め込まれたインプラントに刻まれているチューリッヒの貸金庫の番号を手がかりにスイスを訪ねる。そして、貸金庫を明けると、大金といろいろな国のパスポートがあった
• とりあえず一番上にあった合衆国のパスポートが本物らしいので、アメリカ領事館にいってみると捕らえられそうになる
• 領事館で金に困って帰国を申請していた女性に金を渡し、唯一の手がかりであるパスポートにあったパリの住所まで連れて行ってもらうことにする
• ところが、ＣＩＡがそれをかぎつけ二人とも指名手配犯になる
• 以後警察とＣＩＡの追求をかわしながら、わずかな手がかりから自分のIdentityを探しはじめる
• やがて、国を逐われた独裁者の暗殺未遂事件と、ＣＩＡの暗殺者養成プログラム「ドレッドストーン」との接点が明らかになり始め・・・

2005/9/12 李賀歌詩集1(蘇小小の歌) 1998 平凡社東洋文庫645 †

• 李賀が死ぬ前に友人の沈子明に託した4巻の詩集の全訳の1巻目
• いきさつ
  1. 李賀は唐朝の縁類にあたり、子供の頃より詩才が有名で、朝廷の高官で文学界の重鎮の韓愈に師事した。
  2. 早くに父親を亡くし、科挙を受験しようとしたが、政界での韓愈の反対派が手を回し、李賀には科挙を受験しさせなかった（父親の諱の李晋粛の「晋」が、科挙合格者の進士の「進」と同音なので受験を避けるべきだとした）
  3. 結局、高等官としては最下級の儀典官の職に就く(皇族の縁類の内出来の悪い人間を養うための閑職)
  4. 以後死ぬまでの数年間、都を驢馬でウロウロしながら興が乗ると詩を作り手持ちの袋にいれておいた。夜中に母親がときどきそれを清書した
  5. やがて病を得て若くして死ぬことになるが、李賀の詩はその場で作り捨てられたため、この世に形として残っているのは母親が清書し沈子明に託された四巻のみ

2005/9/4 李賀 †

1. 李賀 791〜817（26歳で逝去）
2. 天才李白、人才白居易、鬼才李賀
3. 陳商に贈る

   長安に男児有り
   二十にして心已に朽ちたり
   
   楞枷、案前にうずたかく
   楚辞、肘後にかかるる
   
   人生窮拙に有り
   日暮聊(いささ)か酒を飲む
   
   祗(ただ)今道已(すで)に塞がり
   何ぞ必ずしも白首を須 (ま)たん

    

   長安に男児有り
   二十にして心已に朽ちたり
   
   死に憧れて
   楞枷経を座右の書とし
   楚辞を愛読書とする
   
   人生どうにもならなくて、
   夕方から酒をのむ
   
   頭の真っ白な年寄りばかりが
   未来がないわけぢゃない 
   
   *楞枷経…仏陀晩年の述懐
   *楚辞…楚の王族である屈原の詩集。国難に際して無能な閣僚に権力を奪われ
          指をくわえて楚が秦に滅ぼされるのを見るに忍びなく汨羅に身を投げ自殺。

2005/9/4 橘逸勢 †

1. 782?〜842
2. 804年空海、最澄とともに藤原葛野麻呂に従い入唐
3. 柳宗元に書を学ぶ。嵯峨天皇・空海と共に三筆の一人。
4. 帰国後、空海とともに従五位下に叙せられる。
5. 承和の変(842年)に連座して伊豆に流される途中で死去。

                  藤原冬嗣----+---藤原良房
                              |
                              +---順子
                                  |
                                  +------道康親王(55文徳天皇)---56清和天皇
                                  |
              +---(51平城)    +--54仁明天皇
              |               |
   (50桓武)---+---52嵯峨上皇--+--正子内親王
              |                   |
              |                   +------恒貞親王(皇太子)
              |                   |
              +--------------53淳和上皇

   1. 薬子の乱(810年)で平城上皇を打ち破り絶対的な権力を手に入れた嵯峨天皇は、823年退位し弟の淳和天皇に譲位する。淳和天皇も833年に仁明天皇に譲位し、皇太子は恒貞親王に決められる。
   2. 嵯峨上皇は退位した後も実権を握り30年あまり政情は安定していたが、842年に嵯峨上皇・淳和上皇が相次いで崩ずると、一挙に政情は流動化する。
   3. 藤原氏に恒貞親王を暗殺されることをおそれた皇太子の側近伴健岑とその朋友橘逸勢は一時皇太子を東国に避難させることを計画する
   4. 計画は事前に漏れ、恒貞親王は皇太子を廃され、伴健岑は隠岐、橘逸勢は伊豆に流される。
   5. その後、道康親王は文徳天皇となる。藤原良房は摂政太政大臣となり後の藤原北家の優位は絶対的となる。
6. 死後、罪を許されて853年には従四位下を賜わる

2005/9/4 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 2004 夢枕獏 †

1. 舞台は中唐の長安。主人公は、留学僧空海と儒学生橘逸勢。
2. 空海は、密教をいち早く学ぶために長安の宗教界に名を売り、密教の頂点にたつ青龍寺の恵果和尚の目にとまろうとする
3. おりしも金吾衛(首都警察)の役人宅に、しゃべる猫の妖怪が出て災いを為す事件が発生し、空海は好機とばかりに首をつっこむ。
4. ところが、その事件は50年前に起きた安史の乱のそもそもの原因とそこから尾を引く怨念に因るものだということが段々明らかになる
5. 玄宗・楊貴妃・高力士・阿倍仲麻呂・李白らが織りなした50年前の裏面史と、現代の空海・橘逸勢・柳宗元・白居易の謎解きをいったり来たりしながら物語は、50年前の怨念が現代の唐朝を揺るがす呪術合戦に結実していく

• これ以上書くとネタばれなのであまり書けませんが・・・とにかく面白くて夢枕獏さんが足かけ17年かけて書かれたものを一気に2日で読んじゃいました

2005/8/11 Starwars Episode 3 †

1. Cartoon版Starwarsを見ないと、Episode 2とのつながりが分かりません。
   • Episode 2の数ヶ月後から、共和国の首都星コルサントが分離主義者の奇襲を受けてパルパティン議長が誘拐されるまでの話(クローン大戦)
   1. 1万人のジェダイの騎士が指揮官となって100万人のクローン軍を率いて分離主義者と戦闘を繰り広げる
   2. 共和国軍は各地で戦闘には勝利するものの分離主義者がゲリラ的に辺境惑星を襲い、共和国軍は銀河各地に散らばっている
   3. 手薄になったコルサントが分離主義者の艦隊におそわれてパルパティン議長が誘拐され・・・
   4. というところまで
   5. Episode3の冒頭でグリーバス将軍(悪者No2のサイボーグ)が咳をしているのは、Cartoon版の最終話でパルパティン議長を誘拐するときにジェダイの騎士に手傷を負わされたため。
2. Episode 3
   1. Cartoon版の最終話から続くコルサント軌道上での戦闘シーンから映画が始まり
   2. 途中いろいろあって
   3. 最後のシーンは
      • オルデラン王家にレイア姫が預けられるシーン
      • タントゥーインの水分農家にルークが預けられるシーン
      • スターデストロイヤーの艦橋で、建設が始まったデススターを眺める皇帝(パルパティン)とダースベーダー(アナキン・スカイウォーカー)
   4. で、20年後のEpisode 4につながる
3. エンドロールに
   • DELL、AMD64なんかが出てた。ILMのCGはDELL製のOpteronクラスターでつくられた？
   • Jabba the Huttが出てたけど・・・出てたんか？
4. Episode1〜6で、映画版は終結
   • 爛熟した民主国家が、危機をきっかけに政府に非常大権を与えて、民主的手続きにより独裁国家になる(Episode1〜3)
   • 多大な犠牲を払って、民主国家が再建される(Episode4〜6)
   • ローマ帝国興亡史やナチスの台頭・アメリカ建国やアーサー王物語などを下敷きにした物語
   • 小説ではこの後も話が続くけど夢も希望もない「暗黒時代」。ある意味ローマ帝国崩壊後が忠実に再現されているとは言えなくもないけど・・・。ハリウッド映画にはなりにくい
     • 社会や産業の基盤が知的生命体の精神エネルギーである種族が、starwarsの舞台となっている銀河の知的生命体をエネルギー源とすべく侵攻してきたり
     • 帝国軍の残党との戦いや新共和国内の内乱
     • 宇宙船から兵器まで全て生物でできていて、機械文明を滅ぼすことが宗教な種族に襲われて連戦連敗。コルサントも滅茶苦茶に破壊されて新共和国崩壊、カラマリに亡命政府ができたり・・・
5. Episode3は、一部の人しか見ていないCartoon版の知識がないと物語の前提条件が分からなかったり、エンディングにいろいろいたずらがしてあったり(一部の噂によると遠景にミレニアムファルコン号がでてくるらしい）、ヲタク度全開

2005/8/10 希望格差社会 2004 山田昌弘 筑摩書房 †

1. 現代社会での「勝ち組」「負け組」の本質は希望があるか無いかの格差
2. 「希望」とは「努力が報われる」という実感。希望のある層は努力し、子供にも努力させる一方で、希望の無い層は刹那的に日々を送り格差は将来絶望的に開く可能性がある
3. 高度成長期(=大量生産大量消費社会の構築期)は、「勝ち組」「負け組」の格差は「量的」(努力すれば/時間がたてば埋まる格差)なものと多くの人が考えていた。テレビを買うのが早いか遅いかの違いで、多くの人はいずれ先行して豊かになった人の生活水準に追いつくだろうと感じていた。
4. 大量生産システムの構築の中で膨大な雇用が生まれ、またそれに必要なスキルは定式的なものを積み上げるものだったため、終身雇用とOJT(On the job training)は企業側にも従業員(普通の能力をもった人間)側にもメリットがあった
5. 今日のニューエコノミー社会で必要とされるスキルは定式的なものではない。
6. 企業側は、一部の高給な中核的な労働者と、大多数の低賃金の置き換え可能な人材を選別している
7. 中核的な労働者になるためのスタートラインに立つには、即戦力となる学歴や資格が必要で、しかも学歴や資格があったからといって中核的な労働者になれるとは限らない。
8. 一般的な能力の人間は、置き換え可能な人材としてしか扱われず、格差を「質的」（これから努力しても埋まらない格差）ととらえている。彼らは将来に対する希望を失い努力を放棄している。
9. どのような対策をとるべきか
   1. オールドエコノミーに戻ることはできない。そういう意味で現代の保守・革新勢力のいっていることは的はずれ(産業革命時のラッダイト運動(機械打ち壊し)と同じ)。有能な人間は活躍する場を自分で選べるので彼らを企業・国家から失うことになる。
   2. 自由主義者(竹中さん)のいうように、(さらなる競争激化 + セーフティネット)は、普通の人が希望を失っていることへの処方箋にならない
   3. 高度成長期の社会・産業構造に特化した制度を現状に合うように改めるべき(ex.サラリーマンの夫と専業主婦を前提とした社会保障制度など)
   4. 40歳以上はオールドエコノミーに守られて生きていて、30歳代以下ではニューエコノミー(ほとんどが負け組になる)の競争にさらされている。現在社会の中核となっている層はほとんど痛みを感じていないし、現状を理解していないのでは？
   5. 若者に、彼らの望んでいるスタートラインに立てるように公的な援助する一方、能力に対して分不相応な望みをあきらめさせる装置が必要(かつては受験戦争がその役割をしていた)
10. この本の一つの目的である、社会の二極分化が表面的な経済格差のとどまらず、将来に希望を持って努力できる層とそうでない層に分化しつつあるという分析を世に問うことは成功している
11. もう一つの目的である、処方箋に関しては十分に述べられていない
    1. 欧米先進国が20年悩んでいて未だに解決できない根深い問題(我が国がこの問題に直面したのは、筆者によると1998年から)
    2. 少なくとも、現在の経済や社会・教育の専門家、政治家の処方箋が的はずれである事は明らかになった

2005/8/7 助け合い †

• 助け合い【名詞】
  1. 互いに助けたり助けられたりすること(今日ではこの意味では使われない)
     • 例:「鳰山家は兄弟で助け合いながらやってきた」
  2. 一方的に助けられたり助けられたりすること。ツケを政治的弱者にまわすこと
     • 例:「郵便局は助け合いのネットワークだ」
• 政治的弱者【名詞】
  1. 政治家にとって、選挙のときに無視してもよい人間。農村部の人間の1/2〜1/5の選挙権しか持たない都市部の労働者や、現在選挙権を持っていない20歳以下の人間・まだ生まれていない人間。自分の支持者層が快適に生活するためのツケをいくらでもまわしてよい人間。
  2. 政治家にとって、選挙のときに重要視しなければいけない人間。「弱者」として社会福祉や就職・公共事業の割り振りなどで面倒を見てやれば心強い味方となる一方、一旦敵となれば政治生命はおろか本物の生命も危ない。

2005/7/24 38歳・独身・男性 わがフリーター人生セキララ赤面日記 2005 日暮学 PHP文庫 †

• あらすじ
  1. 序。
     • バブル期に準大手証券会社に入社するも、バブル崩壊のストレスに負け胃潰瘍になり退社。田舎(福岡)に帰って数社に勤めるもソリが合わずフリーターに
  2. セキララ食生活。
     • 賞味期限ぎりぎりのラーメンをアルバイト先からもらい一週間それで暮らす。朝食と昼食を分割する。それでもお金がなければ水を飲んで暮らす・・・
  3. セキララ日常生活。
     • 電気・水道・携帯電話が止められたら・・・
  4. セキララ金銭生活。
     • 一円を笑う者は一円に泣く(本当に一円足りずに)。フリーターすら食い物にするネズミ講・サラ金
  5. セキララ不健康生活。
     • 健康保険に入っていないので、オチオチ病気にもなれない
     • フリーターの生活。平均睡眠時間3.5時間で働きながら専門学校に通っている人もいる
     • アリとキリギリス(これがこのエッセイの主題?)。仕事を掛け持ちしながら将来の夢にむけて一生懸命頑張っていた人が、ちょっとした不注意で不幸のどん底に落ち込み。フラフラと生きていた怠け者が、携帯の代理店を始めて億万長者に・・・
• 自分がいかに恵まれていたかを再認識した一方、20年後の日本の中間層がこのような状態になるのではないかと恐怖感を覚えた(現時点のアメリカの中間層はすでにこうなっているようだし・・・)。これより身につまされるのは、奥山のオルタナティヴ31歳ガン闘病記だけどさすがに今は読めません

2005/7/21 いろはにほへと †

1. いろはにほへと(作者不詳)

   色は匂へど　散りぬるを	いろはにほへと　ちりぬるを
   我が世誰そ　常ならむ	わかよたれそ　　つねならむ
   有為の奥山　今日越えて	うゐのおくやま　けふこえて
   浅き夢見じ　酔ひもせず	あさきゆめみし　ゑひもせす

   • 作者、空海説、柿本人麻呂説
   • 「仮名手本」忠臣蔵

     いろはにほへ[と]
     ちりぬるをわ[か]
     よたれそつね[な]
     らむうゐのお[く]
     やまけふこえ[て]
     あさきゆめみ[し]
     ゑひもせ[す]
     =とかなくてしす (咎無くて死す)

2. あめつちのうた（本居宣長作）

   雨降れば　井堰を越ゆる	あめふれは　ゐせきをこゆる
   水分けて　安く諸人	みつわけて　やすくもろひと
   下り立ち植ゑし　群苗	おりたちうゑし　むらなへ
   その稲よ　真穂に栄えぬ	そのいねよ　まほにさかえぬ

   (いろは歌と同じく全ての仮名を使っている)

2005/7/20 中国任侠伝 2005 陳舜臣 徳間書店 †

• 戦国末期〜漢初期の任侠の士の列伝
• 登場人物
  1. 荊軻。
  2. 斉の孟嘗君。魏の信陵君。趙の平原君。楚の春申君。
  3. 項羽の武将として劉邦を苦しめた季布と、彼を匿い漢に推挙した魯の侠客朱家の物語
  4. 漢初の流氓郭解と、その従兄弟許充の対決。許充は、20歳のときに郭解に侮辱され郷里にいられなくなり、魯で豚飼いをしていた40歳の公孫弘の弟子となる。以来20年間苦労を共にし、公孫弘が60歳を超えて漢の宰相となったときにやっと復讐をとげる
  5. 景帝末期。長安の侠客趙群の物語。よんどころない義理で、縁も恨みもない衛青という青年将校を殺さねばならなくなるが・・・
  6. 朱家と彼に激しくあこがれる田仲の物語。田仲は朱家の一挙手一投足を真似、朱家はそれを疎ましく思い始める・・・

2005/7/19 続御書物同心日記 2004 出久根達郎 講談社文庫 †

• 江戸城紅葉山文庫で、幕府の公文書・将軍の蔵書を管理する御書物同心が主人公の古書を中心とした人情話。第二巻
• あらすじ
  1. 目録 : 市中の古本屋に紅葉山文庫の目録なるものが出回り・・・
  2. 土蔵 : さる大身旗本が、紅葉山文庫に匿名で先代の蔵書を寄贈したいと申し出た。しかしそれには奇妙な条件が付いていた、１．当代になって土蔵を全く整理していないので御書物同心に出向いてもらいたい。２．しかし、あくまで匿名で寄贈したいので目隠しをしたうえで当方の差し向けた駕籠に乗ってきてもらいたい。なにやら曰くありげな依頼の裏には・・・
  3. 他５話

2005/7/13 結婚狂詩曲(囲城) 1946 銭鍾書 岩波文庫 †

• 中国人某君の薦めにより読む
• 銭鍾書。1910-1998。江蘇省無錫の人。清華大学外国語学科卒業後、英オックスフォードに学ぶ。1937年帰国、昆明西南連合大学外国語学科教授を経て1946年清華大学外国語学科教授に迎えられる。代表作『囲城』『人・獣・鬼』『宋詩選注』
• 原題の囲城は、フランスの箴言から
  • 城を攻める方は早く城に入りたいと思うし、城を守る方は早く城から出たいと思う
  • = 独身者は早く結婚したいと思うし、既婚者は早く離婚したいと思う
• あらすじ
  1. 時は1930年代前半。場所はフランスから中国へ向かう船の中。主人公の方鴻漸は、北京の大学を出て洋行したものの遊蕩の末学業ままならずニセの卒業証書をもって帰国する帰途。本国は日本の侵略・国共内戦と艱難が降りかかるも船中のお気楽なインテリたちは麻雀と男女の鞘当てに明け暮れていた
  2. 留学資金を出してくれた郷里の銀行家に家族同然と言うことで迎えられるもその実銀行家の見栄と体のいい召使いであった。鴻漸は我慢できずに銀行家の家を飛び出してしまう。
  3. そのあと、日本からの侵略により辺境(昆明?)に疎開した大学より助教授として迎えられる。しかし、そこは平和そのもので誰と誰が食事をしただの、誰と誰ができているだのといった陰険なサロンの勢力争いが繰り広げられていた。
  4. そんななかで、鴻漸は成り行きから気の強い女性講師と結婚することになり、また「サロン」にいられなくなった
  5. 追い出されるように学校を辞め上海で新聞記者をするものの収入ままならず、実家からの援助と細君の収入で生きているありさま。夫婦で諍いが絶えない。
  6. やがてつまらぬ意地から新聞記者も辞め、離婚することになる。
  7. 鴻漸が家族も職も失ったところで物語は終わる。
• 世渡り下手だが、努力もしないインテリが、社会の激動をよそにふらふらと生き結婚し離婚するという話。刊行された1946年の状況を考えると相当天の邪鬼な小説であったことは想像に難くない。
• 耳の痛い話だなぁ・・・オイラもいろいろな人の好意(多少は打算を含んでいるにしろ)を無碍にしながらふらふらと生きています・・・

2005/7/9 バカ殿様こそ名君主 2005 山本博文 双葉文庫 †

• 著者は、東京大学史料編纂所教授
• 江戸期の武士・町人の暮らし、風習のトリビア。
  1. 武士のお仕事
     武士の給料や出世の為の賄賂。リストラと再就職。勤務時間。表題の「バカ殿様こそ名君主」は毛利敬親(明治維新を"主導"した長州藩主)
  2. 武士の規律と儀式
     武士の面目。切り捨て御免とはいっても、江戸では「将軍家の領民」に危害を加えるのは命がけ、それを逆手にとって町奴が田舎侍にちょっかいを出す
  3. 武士の恋愛
     初期の吉原は高級サロン。大奥事情。衆道、不倫・・・
  4. 武士の流行情報
     まじめな武士は暇に飽かして一級の文化人に。
  5. 快適?武士ライフ
     大名の食事はあっさり(上層町人の方が旨いものを食べていた)。階級によって話し言葉や遺伝子(顔立ち)が違っていた。話し言葉は後期にいくほど平準化した(下層のものが上層のものをまねる)。顔立ちはどんどん違っていった(「美人」が上層に集められる為)
• 単にトリビアを並べたのではなく、社会制度や時代背景と人間の暮らしが密接に関係があることを支柱に据えて個々の事象が述べられている
  • 社会制度や時代の状況に制約されて人間の暮らしがある（時代によって人々の考え方や暮らし方が違う)
  • 人間の暮らしがある以上、ほとんどの人がある程度満足するような制度になっている(社会制度にはある程度時代を超えた共通性がある)
  • ある時代が、(技術力・生産力の範囲内で)現代に比べて極端に理不尽がまかり通っていたわけではなく、逆に立派な人間ばかりだったわけではない

2005/7/8 御書物同心日記<虫姫> 2005 出久根達郎 講談社文庫 †

• 江戸城紅葉山文庫で、幕府の公文書・将軍の蔵書を管理する御書物同心が主人公の古書を中心とした人情話。第三巻
• あらすじ
  1. 虫姫 : 木場へ懇意の古書店主の代理で古書を買い付けに行った帰りににわかの豪雨。雨宿りした家の娘が枕草子の「虫めづる姫君」よろしく・・・
  2. 不浄 : 曰く付きの本（由井正雪の蔵書や殺された蔵書家の遺族から寄付されたもの)を収蔵する不浄門の櫓で・・・
  3. 他５話

2005/7/7 リアル鬼ごっこ 2004 山田悠介 幻冬舎文庫 †

• あらすじ
  1. 西暦3000年、国王の思いつきにより一週間の間「リアル鬼ごっこ」が行われることになった
  2. 全国500万人の佐藤さんを、軍隊から募った100万人の鬼がおいかけ、捕まると絶滅収容所行きになる
  3. 主人公である陸上選手の佐藤翼は眼前で次々と家族・友人が捕まっていく中逃げ切れるのか？
• リズム感が絶妙で一気に帰りの電車(40分ほど)で読み切ってしまいました。

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