はじめに

  1. 法王ベネディクト16世の講演の一部が引用されて問題になっている
    • 9月12日(火)午後5時から、レーゲンスブルク大学講堂
    • 「信仰、理性、大学――回顧と考察」
    • カトリック神学の歴史的位置づけと、今後のあり方の方針を述べたもの
  2. 問題発言とされる部分
    (オスマントルコに圧迫されている東ローマ)皇帝はいいます。
    「ムハンマドが新しいこととしてもたらしたものをわたしに示してください。
     あなたはそこに悪と非人間性しか見いだすことができません。
     たとえば、ムハンマドが、自分の説いた信仰を剣によって広めよと命じたことです」
  3. 全文(日本語訳)

講演の概要

ヨーロッパ文明(=カトリック)の位置づけ

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  1. ヨーロッパ文明は素朴な原始宗教から二段階のステップアップを経てきている
    1. 土地と礼拝との切り離し
      • 強制的に土地を奪われ礼拝を禁じられたユダヤ人は、自然現象を象徴する人格神ではなく、惟存在する本物の「神」を見つけ出した。(体系づけたのはモーゼ)
    2. ギリシャ哲学との融合
      • アレクサンドリアで旧約聖書がギリシャ語訳されたときに、「ギリシャ哲学の理性」と「神への信仰」が融合した
  2. これと、ローマ文明の遺産が、今日のヨーロッパ文明の基盤

中近東の宗教の世界観

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キリスト教(カトリック)の世界観

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宗教改革の世界観

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  1. 何を思ったのかプロテスタントの馬鹿どもは、宗教部分の思索を止めてしまった
  2. もちろんキリスト教の原点に立ち返るという善意が動機なのだが・・・
  3. この帰結として、時代が下るととんでもないことを言い出すやつが出てきた。
    カントは、信仰に場所を与えるために、思惟を脇に置かなければならないと
    述べました。これによって、彼は、宗教改革者たちが予想できなかったよう
    な徹底したしかたで、宗教改革者のこの計画を実行したのです。
    こうしてカントは、信仰を実践理性のみに基づかせ、信仰から現実全体に通
    じる道を閉ざしました。

近代科学の世界観

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  1. もっと時代が下ると、人々にとっての世界は科学の範疇だけになってしまった
    • 究極的には数学で記述され
    • 実験における検証可能性ないし反証可能性のみが、決定的な確実性を示す
  2. 良心や倫理といったことは人々の認識の範疇にはない
  3. 信仰は趣味趣向の世界
    • 理性を持って良心や倫理と向き合わない
    • 自分にとって都合のよい倫理のみを受け入れる

今後の神学とヨーロッパ文明のあり方

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  1. 神学を科学(歴史学・人文科学)の範疇に置こうとする動きがあるが間違え
  2. 神学は科学の扱えない部分(良心・倫理)を理性を持って扱い、再び世界ありように関わり合いを持たねばならない
  3. 科学の分野でも、自然科学の裏にある数学のさらに裏には神の理性が所与のものとして働いていることを示さなければならない

さいごに

  1. 図らずも理性を通じて世界と関わらなければならないと言うことを自分自身で示すこととなった講演
  2. だいたい話の流れはつかめているつもりだけど、細かな間違え(や大きな間違え)が有るかもしれない・・・

Culture


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Last-modified: 2006-09-23 (土) 02:01:14 (6419d)
Short-URL: https://at-sushi.com:443/pukiwiki/index.php?cmd=s&k=c094474531
ISBN10
ISBN13
9784061426061